会長ご挨拶

 京都社会福祉士会会長の長澤哲也です。2021年6月から福富昌城前会長の後を引き継がせていただいています。
 京都社会福祉士会は、京都府を拠点に活動している社会福祉士の職能団体です。会員数は1,100名を超え、個々の会員がそれぞれの立場で京都府域における社会福祉の向上を目指し活動しています。行政機関、福祉関係機関・施設、病院、学校、司法機関など、その活動の場は幅広く、府民の皆さんの身近なところにも社会福祉士が働いています。また、独立型社会福祉士として事務所を構え、ソーシャルワーカーや成年後見人として活動している会員もいます。
 社会福祉士は、社会福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもってソーシャルワークを業とする名称独占の国家資格です。日本ではソーシャルワークという言葉がようやく一般的に使われるようになってきましたが、その中身についてはいまひとつ分かりにくいかもしれません。ソーシャルワークは人々の生活の質の向上やウェルビーイングを高めることを目指し、それらを阻害する構造的な問題に目を向け、生活に困難を抱え社会的に抑圧されている人々の側に立ちながら効果的な方法で多様な主体に働きかける社会的な実践です。ソーシャルワークはどのような国においてもその必要性が増しており、2014年には「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」が策定され、ソーシャルワークがグローバルな専門職として認識されています。
 社会福祉士は、日本において個別の相談援助や福祉サービスの調整などを中心にその専門性を発展させてきましたが、2018年に厚生労働省社会保障審議会福祉部会から「ソーシャルワーク専門職である社会福祉士に求められる役割等について」がまとめられ、社会福祉士に対してソーシャルワーク機能を発揮する専門職としての役割が示されました。
その中で、社会福祉士が幅広い分野で支援対象者のニーズや置かれている環境の違いを考慮しつつ、ソーシャルワークの知識や技術、社会保障制度や各種制度におけるサービスの知識等を活用し活躍していることが述べられています。その上で、社会福祉士が今後担う役割として、「地域共生社会」の実現に向けて、複合化・複雑化した課題を受け止める多機関の協働による包括的な相談支援体制の構築や地域住民等が主体的に地域課題を把握して解決を試みる体制の構築を進めていくに当たって社会福祉士がソーシャルワークの機能を発揮することへの期待が述べられています。
 京都社会福祉士会は、これからも京都府を中心に府民の方々、行政や地域の多様な団体・機関と連携・協働しながら、人々の生活と権利を護り、より良い社会の構築に尽力していきたいと考えています。また、社会福祉士の方々におかれましては、社会福祉士同士がつながり自己研鑽していける場として、また社会的な活動への参加機会として、ぜひ会員となって活用していただけますようお願いいたします。

2023年3月
一般社団法人 京都社会福祉士会 会長 長澤哲也